ZEN LIFE

寺生活のあれやこれや。日々の暮らし

トスカニーニ&NBC交響楽団 ベートーベン交響曲5&8番

5番は1952年3月22日、8番は11月10日にカーネギーホールにて録音。

5番は言わずと知れた運命だ。全体的には速めのテンポなのはこの時代のいつもの事だから気にならない。生で聴いたらさぞ興奮したであろう緊張感だが、もっとたっぷり聴かせてほしい気もする。2楽章はウルトラセブンのテーマのような恰好よい曲だが、ちょっと気張りすぎに感じる。しかし、CDでは弦の響きがとても良くなっていて驚く。

全体的な纏まりがとても良くなっているのだ。昨今の良すぎる録音よりも曲の雰囲気があるように感じるのは私だけなのだろうか。3楽章はぐいぐい進む。低弦群の速いパッセージがほとんど乱れない。トスカニーニはチェロ奏者なのでオケのメンバーさんはすごく緊張してたんじゃないのかなと感じる。続けてのフィナーレも怒涛のように進むがちょっとした乱れがあるんだが、おそらくジロリと睨んだんじゃないかなと思う。しかしながら、緊張感は凄い。ラストのほうが金管群がバリバリ鳴るんだけど、演奏者がツワモノぞろいなので余裕しゃくしゃくである。こんなにティンパニーが鳴ってるのかなとちょっと気になったのであとでスコアで確認してみる。

 8番はちょっとうるさすぎる出だし。もっとかわゆく始めてほしい。あんまり好きな曲じゃないのかな。わがまま言うようだが、こういう曲は最近の録音のほうがすっきり聴こえるのかも知れない。木管の重なりが薄っぺらく感じてしまう。同じCDでも五番の録音とは随分違いを感じる。2楽章、これも速すぎ。この曲のオシャレな感じがぶっ飛んでしまっている。3楽章、ちょっとベートーベンにしては跳ねすぎ?なリズム。私の先入観なのかもしれないが、あまりベートーベンらしく?ない感じだ。少し戸惑う。ホルンの遠近感がすごい。これは録音が良いのだろうか。フィナーレはやっと納得って感じだ。でも、それにしても少し速すぎな感じ。この曲全体の可愛らしさがあまり感じられない。他の指揮者のものを聴き比べておきたい。

最後にレオノーレ序曲3番。これは1939年11月4日、NBCのスタジオでの録音のようだ。この演奏のテンポのほうが自然な感じ。ただ、残響のない音に少し面食らう。変な色付けのある音よりは好ましいのだが、何といっても曲の雰囲気をぶち壊してしまうのは如何なものか。トスカニーニの好みだったというが、疑問が残る処理だと思う。

ベートーベンは基本的に大好きだし、聴くたびに新しい発見もある。もっといろんなCDを聴き比べてみたい。